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【そうだったのか】住民税の基本の「キ」

20221218_住民税の基本の「キ」
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住民税とは?

住民税は、都道府県や市区町村がおこなう行政サービスを維持するために必要な経費を分担して支払う税金です。

要するに、地元の役所がゴミ収集や道路メンテ、警察、学校、高齢者のケアなどいろいろやっていますが、その行政サービスの運営費のために支払っているもの、というイメージです。

税の使い道

「ウチらの税金何に使ってんの?」
っていう人のために↓に税金の使い道を紹介します。

国の発表している資料によると、税金の半分ぐらいは民生費+教育費に使われていることがわかります。
次にかかっているのは、公債費(借金返済費)、土木費(公共設備、施設のメンテなど)などがあります。

「税金の無駄遣いを止めなさい!」といいたいところですが、民生費、教育費を削るのは反対意見も多そうですね。
まぁ行政の事務をもっとDX化したり、同じような制度をまとめたりしてスマート化していけば節約できると思いますけどね。

  • 民生費:福祉にかかる費用のこと(主な対象者:子ども、高齢者、障害者、生活保護者など)
  • 教育費:学校教育・社会教育にかかる費用のこと

住民税は読み方がいっぱい…フクザツ

住民税というのは省略した言葉で、正式名称は「都道府県民税・区市町村民税(とどうふけんみんぜい・しくちょうそんみんぜい)」といいます。
※まったく覚える必要はありません

また、住民税といっても個人にかかる税金である「個人住民税(こじんじゅうみんぜい)」と法人にかかる税金である「法人住民税(ほうじんじゅうみんぜい)」の2つがあります。

ここからは「個人住民税」に絞って解説していきます。
これ以降、「住民税」といえば個人住民税のことと思ってください。

あと、住民税はどこの街に住んでいるかで言い方が変わります。
例えば、○○府◆◆市であれば市・府民税と言ったり、△△県××町ならば町・県民税と言ったりします。
ちなみに、所得税は国に納めていますが、住民税は自分が住んでいる区・市や都・県などに納めています。

  • 住民税は、いろいろな呼び方があるけど、一般的には個人にかかる住民税のこと。
  • 所得税=国税、住民税=地方税

住民税のキホン的な考え方

基準(いつ、どこに納めるのか)

住民税は自分が住んでいる自治体に納めることになります。

じゃあ、引っ越しをした人はどこの自治体に住民税を納めるの?という疑問があるかもしれません。
そんな人のために、基準となる日が決まっています。
それは1月1日
1月1日に住んでいる自治体に1年分の住民税を納めることになります。
そのため、年の途中で別のところに引っ越ししても1月1日に居た自治体に納めることになります。

住民税は所得のある人が納める

住民税は、ある程度の所得がある人にしかかかりません。
よって、所得が基準額以下の人や無職の人は無関係です。

ちなみに、収入と所得という言葉は混同されがちですが、税の計算ではまったく違います。

収入:税金や経費が引かれる前の総支給額。
所得:収入から経費を引いたもの。

これは税では基本中のキホンなので覚えておくといいと思います。
収入と所得の違いについて詳しく知りたい人は↓の記事を見てみてください。

収入・必要経費・所得
会社員/年金受給者/フリーランスで変わる収入・必要経費・所得の違い 税について調べると真っ先に出てくる言葉が所得です。 所得という意味を正しく理解していないと、税金の計算をするときにまちがってしま...

では、所得がある人はどうやって税金の額(税額)を決めるのか?
単純に「所得の〇パーセントが税金です」ということにはなりません。
個人の状況によって税金を下げてくれる制度があります。
それが控除です。

控除とは「所得控除」と「税額控除」の2つあります。

所得控除:所得から差し引くもの。
税額控除:税金の額が決まった後、さらに差し引くもの。

ややこしいので、下の図を見てもらえるとわかりやすいかと思います。

税金を計算する流れはこのようになります。

  1. 収入から経費を引いて所得を決める。(所得=収入-経費)
  2. 所得から所得控除を引いて課税所得を決める。(課税所得=所得-所得控除)
  3. 課税所得から税率を掛けて税額を決める。(税額=課税所得×税率)
  4. 税額控除があれば税額から引く。(納める税金=税額-税額控除)

税額=(収入-経費ー所得控除)×税率-税額控除

専門用語がいっぱい出てきてお手上げ状態の人がいるかもしれませんが、慣れると単純な計算なので大丈夫です。

例外として非課税基準値がある

住民税には「非課税基準」があります。
均等割・所得割の両方が非課税になる条件は以下のとおりです。

  1. 生活扶助者
  2. 障害者・未成年者・ひとり親・寡婦で合計所得が135万円以下
  3. 合計所得が一定額以下の人

また、上記の条件に漏れた人のために、所得割のみ非課税となる条件もあります。
基本的には総所得金額等が45万円以下の場合ですが、扶養している人がいる場合は金額が増えます。

詳しくは↓の記事をご覧ください。

住民税非課税基準まとめ
★最重要★住民税非課税基準まとめ(2024年税制改正対応) 住民税が非課税基準を設けられているワケ 住民税は基本的には「地域の会費」という意味合いがあるため、住民全員に納めてもらうことを想...

他の住民サービスの負担金・利用料などに影響大

住民税の特徴の一つとして、かかった住民税を納付する、というだけでは終わりません。

自治体の住民サービスは、住民税を基本として他の負担金や利用料、補助金などのサービスを決めていることが多いです。
例えば、国民健康保険料は住民税で計算した所得を基に計算しますし、介護保険料は住民税の課税/非課税で変動します。

このように、他のサービスにも影響が出てくるのが住民税なのです。
住民サービスをあまり使っていない人(会社員で一定以上の所得がある人、高所得者など)はあまり影響がないかもしれませんが、いつも行政にお世話になっている方は住民税がベースになっていることをお忘れなく。

住民税の計算方法

住民税は均等割(きんとうわり)と所得割(しょとくわり)の2つで構成されています。

定額払いの均等割

均等割は、所得の大小に関係なく定額でかかるものです。
住んでいる地域によって多少金額が違いますが、1年分で5,000円~7000円程度です。

所得が増えれば税額が増える所得割

所得割は、所得税と同じように基本の計算式で求められます。

所得割=(所得-所得控除)×税率-税額控除

所得割の基本的な計算方法は所得税とほぼ同じです。
法関係でいうと、「所得税法」をベースに計算していることになります。
つまり、個人の所得や生活状況に応じて税額が変動する、ということです。

ここで、素朴な疑問が浮かぶ方がいるかもしれません。
「所得税と住民税を同じにすればわかりやすいんじゃないの?」って。
私も同意見ですが、今の制度では面倒な手間をかけて切り分けています。
「まとめて徴収・納付した方が効率的じゃないの?」と国では議論しているようですが、問題も多くてまとまっていないようですね…。

参考:個人住民税の現年課税課について.pdf(総務省サイトより)

住民税の計算例

給与がある人と年金がある人の2パターンで住民税をザックリ計算してみました。

(例1)給与収入500万円、扶養ナシ、社会保険料70万円かかっている人の住民税は?

所得=356万円(給与収入から計算した所得)
所得控除=113万円(社会保険料控除70万円+基礎控除43万円)
税率=10%
税額控除=0円

所得割=(356万円-113万円)×10%=24.3万円
よって、税額は1年間で約25万円になります。

(例2)年金収入230万円、配偶者を扶養、社会保険料20万円かかっている70歳の人の住民税は?

所得=120万円(年金収入から計算した所得)
所得控除=111万円(配偶者控除48万円+社会保険料控除20万円+基礎控除43万円)
税率=10%
税額控除=0円

所得割=(120万円-111万円)×10%=9,000円
よって、税額は1年間で約15,000円になります。

まとめ

住民税についてサクッとまとめてみます。

基準1月1日に住んでいた自治体に税金を納める
税金がかかる人・ある一定額以上の所得がある人
・基準日時点で日本にいる人
非課税になる人・生活保護を受けている人
・障害者、未成年者、ひとり親、寡婦で合計所得が135万円以下
・合計所得が一定以下(自治体によってちがう)
税金の計算方法住民税=均等割+所得割
・均等割=5,000円~7,000円(自治体によってちがう)
・所得割=(所得-所得控除)×税率-税額控除

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