薬を買うと税金が戻ってくるオトクな制度、知っていますか?
知らなかった、という人はこの記事は一読の価値があると思いますので、サラッと読み進めていただければと思います。
薬を買うと税金が戻ってくる「しくみ」
まずはじめに、薬を買うと税金が戻ってくるしくみについてザックリ解説します。
まず、薬局やドラッグストアなどで薬を買います。
そして、その際にもらうレシート(領収書)を残しておきます。
その後、1年分(1~12月)のレシートをまとめて確定申告します。
あとは、税務署からの還付金(税金の戻り)を待つばかり、という流れです。
- 薬局・ドラッグストアで薬を買う。
- レシート(領収書)を残す。
- 確定申告する。
- 税金が戻る。
このようなしくみ(制度)のことを「セルフメディケーション税制」といいます。
税金やら確定申告、おまけにセルフメディケーション税制などの単語が出てきた時点でアレルギー反応が出てしまった人でも大丈夫。
誤解されない程度にカンタンにわかりやすく解説していきます。
セルフメディケーション税制のキホン
税金が返ってくる、と聞いたら、ほぼすべての人が「私、いくら返ってくるの?」っていうギモンが真っ先に浮かんでくるかと思います。
ですが、先に制度のキホンを知っておいていただかなければ、逆に話がややこしくなります。
そのため、先に制度のキホンを押さえておきましょう。
セルフメディケーション税制とは…
対象となる医薬品の購入費用が年間12,000円を超えているとき、超えた額の割合分の税金が戻ってくる、というしくみです。
ここで、ポイントが2つあります。
- 1年間で12,000円分のレシートがなければ税金は戻ってこない。
- 12,000円を超えた部分が額面どおり返ってくるわけじゃない。
「えー、1年間に12,000円も薬なんか買わないよー。」
という方がいらっしゃるかと思います。
12,000円以上という壁ですが、これは自分一人分だけの薬代でなくてもOKです。
そのため、他のご家族の薬代も合わせて12,000円を超えればよいのです。
また、12,000円を超えた部分が全額返ってくる、と思ったアナタ…残念です。
現実はそう甘くはないのです💦
この部分は人によって違いますが、超えた額のザックリ5~20%ぐらいになります。
例えば、年間20,000円の薬代がかかった人であれば、400円~1,600円ぐらいが返ってくる計算となります。
- 薬代が1年間で12,000円以上かかったら、超えた額から税金が戻る制度
- 薬代は家族分を合算OK
- 返ってくる税金は12,000を超えた部分の5~20%程度
対象になる薬はいっぱいある
セルフメディケーション税制=薬代を申告すれば税金が戻ってくる
というしくみは大体わかっていただけたと思います。
では、次のギモンが沸いてくるかもしれません。
「じゃあ、ドラッグストアに売っている薬なら何でもOKなのかな?」と。
もちろん、すべての薬が対象ではありません。
が、医薬品と名の付くものはほとんどOKと思ってもらえれば間違いないです。
厚生労働省のサイトには対象の医薬品リストがありますが、別にそれを見なくてもカンタンに見分ける方法があります。
それは、商品パッケージに↓のマークがついているかどうかを見ればよいのです。
このマークがある商品はセルフメディケーション税制の対象商品であるという証明になります。
また、購入時のレシートにも対象商品とわかるように記載がされていることがあります。
一応、厚生労働省のサイト「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」のリンクを載せておきますので、興味がある方は参考にしてみてください。
適用条件1:検診・人間ドックなどを受けている
この制度を受けるためには1つ条件があります。
それは、「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っているか、という点です。
回りくどい言い回しですが、とりあえず国税庁サイトの文言をそのままご紹介しました。
「その…一定の取組とやらは何ぞや?」
というご指摘はごもっともです。
それは、↓のいずれかです。
- 健診、検診、人間ドッグ
- 予防接種(定期接種、インフルエンザ)
- 特定保健指導、メタボ検診、ガン検診
大抵は勤務先で健康診断や人間ドッグなどを受けているかと思います。
フリーランスや年金生活者の方は市区町村が行っている健診などを受ければOKです。
なので、制度を受けるための条件などと記載していますが、ハードルはめっちゃ低いのでご安心ください。
ただ、注意点として、健診や人間ドッグなどを受けたときの受診記録や結果などを残しておくことをオススメします。
(書類の提示を求められる可能性がありますので…)
適用条件2:医療費控除を申告しない
この制度の適用にはもう1つの条件があります。
それは、医療費控除を申告しない、というものです。
というのも、これは医療費控除の特例として始まった制度であるため、厳密には医療費控除に当てはまります。
つまり、通常の医療費控除を申告する場合は、このセルフメディケーション税制という制度が申告できなくなります。
そのため、どちらでも申告できる場合は、自分で計算してみてどっちの方が自分にとって有利な申告になるのかをチェックする必要があります。
といっても難しいことはありません。
国税庁サイト「確定申告書等作成コーナー」を使って入力していけば、どちらがトクなのかを判断してくれます。
セルフメディケーション税制で申告する方が有利な人の一例としては↓のとおり。
- 家族の医療費を合算しても10万円以下の人
- 普段からドラッグストアで薬を買うことが多い人
基本的には、年間10万円以上の支払いがある人は医療費控除の方が有利になります。
そもそも、この制度は病院嫌いとか病院に行く時間がないという人が、ドラッグストアで自力で治療している人向けのものとなっています。
ちなみに、医療費控除について詳しく知りたい人は↓の記事をご参考ください。
適用条件3:確定申告する
- 薬代のレシートは12,000円以上あった。
- 健康診断も受けた。
- 医療費は年間10万円もかかってない。
この条件がクリアできたら、ラスボスは「確定申告」です。
確定申告…やったことがない人にとっては聞きたくない単語だと思います💦
しかし、最近はネットでカンタンに申告できるように改善されていますので、そこまで苦手意識を持つ必要はありませんよ。
マイナンバーカードと読み取り可能なスマホがあれば今すぐサクッと始めることもできます。
…まぁ専用アプリ入れたり、初期設定が少しメンドーですが。
また、マイナンバーカードがなくても、読み取りできるスマホがなくても大丈夫です。
パソコンやスマホから国税庁サイト「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして、指示通りに入力していけばOKです。
↓の国税庁が作った動画が参考になります。
まとめ
最後に、この制度のまとめです。
セルフメディケーション税制とは… | 薬代を申告すると税金が戻ってくるしくみ |
もっと詳しくいうと… | 12,000円以上の対象となる医薬品代がかかったとき、超えた部分の割合分の税金を還付・減税してくれる。 (家族分の支払いを含めてOK) |
対象となる医薬品は… | パッケージに「セルフメディケーション税制対象」のマークがあるもの |
適用条件は… | ①健診or人間ドッグなどを受けている ②医療費控除を申告しない ③確定申告or住民税申告する |
注意点 | 控除の上限は88,000円まで (医薬品代の支払いは年間MAX10万円まで) |
本記事を執筆するにあたって、参考にしたサイトは↓のとおりです。
国税庁サイト | セルフメディケーション税制概要・手続など No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】 |
厚生労働省 | セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について |