ふるさと納税の確定申告する方法が簡略化されることになりました。
令和3年分(2021年分)の申告から制度が変更になります。
ワンストップ特例で申告を終わらせている人には影響がありませんが、興味があれば見てみてください。
新制度の概要
現状、ふるさと納税の確定申告をするときは寄附先ごとの「寄附金の受領書」が必要です。
しかし、令和3年分の確定申告以降は、特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」だけで申告OKとなりました。
ふるさと納税をワンストップ特例を使わずに確定申告してた人にとっては朗報ですね。
所得が多い人だと、100万円分以上のふるさと納税をしている人もいるかと思います。
そんなとき、1~3万円ぐらいのふるさと納税をする場合、30~100回ふるさと納税ができることになりますね。
それはそれで嬉しいとは思いますが、申告のときはMAX100枚ある受領書を1件1件手入力していく必要があるわけです。
想像するだけで骨が折れそうですね。
今回はそういう人のためのムダな時間を省略するための制度改正になります。
また、自治体側も受領証の再発行依頼があったときに対応しなければいけなかったのですが、それが激減されることが予想されます。
これもまた、ムダな税金がかからなくなるので一石二鳥ですね。
特定事業者とは?
通常、ふるさと納税をするときは「ふるなび」や「さとふる」、「楽天ふるさと納税」などのふるさと納税サイトを経由していると思います。
(直接、自治体に申込をしている人はかなり少数派のはず…)
特定事業者とは、自治体と納税者を仲介している「ふるさと納税サイト事業者」のことをいいます。
<国税庁長官が指定した特定事業者(令和3年9月15日現在)>
表示番号 | ポータルサイト名 | 特定事業者 | 法人番号 |
---|---|---|---|
FN | ふるなび | 株式会社アイモバイル | 4011001059087 |
SF | さとふる | 株式会社さとふる | 9010401112780 |
RA | 楽天ふるさと納税 | 楽天グループ株式会社 | 9010701020592 |
FC | ふるさとチョイス | 株式会社トラストバンク | 8011001073076 |
TK | ふるさとパレット | 東急株式会社 | 7011001016291 |
FP | ふるさとプレミアム | 株式会社ユニメディア | 6010001082956 |
PL | ふるさとぷらす | 株式会社エスツー | 2370001014200 |
CS | セゾンのふるさと納税 | 株式会社クレディセゾン | 2013301002884 |
AN | ANAのふるさと納税 | 全日本空輸株式会社 | 1010401099027 |
FH | ふるさと本舗 | 株式会社ふるさと本舗 | 5011001120491 |
MI | 三越伊勢丹ふるさと納税 | 株式会社三越伊勢丹 | 4011101059648 |
JL | JALふるさと納税 | 株式会社JALUX | 6010701004711 |
AU | au PAY ふるさと納税 | KDDI株式会社 | 9011101031552 |
「寄附金控除に関する証明書」を発行することのできる特定事業者とは、地方公共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している者であって、特定寄附金が支出された事実を適正かつ確実に管理することができると認められるものとして国税庁長官が指定した者とされています。
国税庁HPより抜粋
寄附金控除に関する証明書って?
様式と記載例が国税庁HPに掲載されていました。
↓のような感じです。
ちなみに、証明書に書いておかないといけない項目が決められています。
まぁここは納税者サイドとしては気にしなくてOKです。
特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」については、次に掲げる事項を記載する必要があります。
- 寄附者の氏名、住所
- その年中に仲介した寄附者の寄附総額(年間寄附額) ※寄附ごとの金額
- 特定事業者が寄附を管理している番号(寄附番号)
- 寄附年月日
- 寄附先の名称及び法人番号
- その他参考となるべき事項
国税庁HPより抜粋
ちなみに証明書は寄附したポータルサイトからデータや郵送で発行してもらうことになります。
また、データは国税庁が指定するファイル形式(XML形式)での受け取りとなります。
申告の方法は?
今回の改正で、ふるさと納税の申告方法の選択肢はかなり増えました。
3つの方法(e-Taxで申告、紙で申告、ワンストップ特例)がありますので、それぞれザックリ解説します。
e-Taxで申告
- ポータルサイトからダウンロードした証明書データを使ってe-Taxで申告できる。
- マイナポータル「e-私書箱」とe-Taxを連携すると、確定申告時に自動入力される。
・メリット:手入力の手間がかからないのでラク。
・デメリット:マイナンバーカードが必要、マイナポータルやe-Taxの事前準備が必要。
毎年e-Taxで確定申告している人はこのパターンが一番ラクです。
しかし、初めてe-Taxする人はマイナンバーカードを作ったり、パソコンやスマホの環境を整えたりと多少の準備が必要です。
紙で申告
- ポータルサイトからダウンロードした証明書データを、国税庁サイト「QRコード付証明書等作成システム」で読み込んで、プリントアウトしたものを申告書の添付資料とすることができる。
- ポータルサイトから郵送で証明書をもらい、申告書の添付資料とする。
- 各自治体から送付された寄附金受領書を申告書の添付資料とする。(今までどおりの方法)
・メリット:郵送で証明書をもらって申告書につける方法が一番ラク。
・デメリット:QRコード付証明書等作成システムは事前準備が大変そう。
e-Taxができない人は、2の郵送で証明書をもらって確定申告書の添付資料として提出するのが一番カンタンです。
ただ、寄附先が1,2件程度なら、今までどおりの申告方法(寄附金受領書を提出)でも手間は変わらないと思います。
ワンストップ特例で完結
確定申告しない人は、今までどおり寄付先にワンストップ特例申請書を提出すれば控除が適用されますので問題ありません。
ただ、医療費控除や住宅ローン控除、株式やFXの所得申告をするときはワンストップ特例が適用されなくなります。
なので、その際は↑のように申告が必要となってしまいますのでお忘れなく。
まとめ
今回の制度改正をまとめてみました。
対象者 | 「特定事業者」のサイトからふるさと納税をした人 |
変更点 | 確定申告に必要な証明書を「特定事業者」が発行してくれるようになる |
メリット | 複数の自治体にふるさと納税をした場合… 1. 寄附額の合計を自分で計算しなくてよい。 2. 自治体から受け取った証明書を個々に添付する必要がなくなる。 |
注意点 | 複数の「特定事業者」を使っている場合は、それぞれの事業所から証明書を取得する必要がある。 |