給料とは…基本給
給料とは、給与明細とかに書かれている「基本給」のことです。
基本給とは、正規の勤務時間に対する報酬であり、手当などは含まれないもの、のことです。
「税金とか引かれてないもの」「手取り」が給料という間違った情報が飛び交っているので注意です。
給与とは…手当を含めた総支給額
給与とは、「会社から受け取るほぼすべてのもの」のことです。
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう
所得税法 第28条 第1項
厳密には給与(給与収入)と給与所得は違うのですが、この税法により給与は基本的に以下のものを指します。
- 基本給
- 各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、扶養(家族)手当、住宅手当など)
- 賞与(ボーナス)
- 現物支給
よって、会社から受け取るすべてのお金、モノを合わせて給与と呼びます。
ただし、一部例外があり、給与に含めないものがあります。
給与に該当しないもの
給与にならない手当
- 通勤手当のうち、一定金額以下のもの ※通勤手当の非課税限度額
- 通勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの ※具体的な額はない
- 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの ※気になる人は国税庁HPで
よくあるものとしては通勤手当です。
通勤のための公共交通機関(電車・バスなど)の代金や有料道路代は月15万円まで、マイカーや自転車を使ってる人は距離により月31,600円まで、などと決まっています。
これを超えて支給されている場合、超えた分は給与に含まれてしまいます。
給与にならない現物支給品
- 職務の性質上欠くことのできないもので主に使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの
- 換金性に欠けるもの
- 換金性の評価が困難なもの
- 受給者側に物品などの選択の余地がないもの
具体例としては、永年勤続者の記念品や創業記念品などがありますが、基本的に労働基準法で「給与は通貨で」という決まりがありますので、現物支給は少ないのかなと思います。
給料(基本給)で何が決められているのか?
基本給をベースに計算されているものは主に↓があります。
- 時間外労働手当(残業代、休日出勤手当、深夜勤務手当) ※以下、残業代と表記
- 賞与(ボーナス)
- 退職金
1.時間外労働手当は基本給ベースに計算されますが、計算が複雑なので↓にまとめました。
2.賞与は、基本給×〇ヵ月分などと決められて支給されますので、基本給が少ない人ほど賞与は少なくなります。
3.退職金も同様に、基本給×支給率(勤続年数、退職理由など)で計算されます。
<あわせて読んでみて>
・自分の退職金いくらか知ってる?退職金はコレで大体わかる
残業代の計算
残業代は一般的に↓のように求めます。
残業代=「1時間あたりの基礎賃金」×「残業時間」×「割増率」
1時間あたりの基礎賃金とは…
所定労働時間を時給で換算したときの賃金をいい、↓のように求めます。
1時間あたりの基礎賃金=基本給(月給)÷(1日の所定労働時間×1カ月の勤務日数)
例えば、月給30万円、1日8時間、1カ月20日勤務すれば、30万円÷(8時間×20日)=1,875円、となります。
割増率とは…
通常の残業の割増率は25%となります。
「法定休日労働」に該当する日に勤務したときの割増率は35%です。
オプションとして、深夜(22:00~5:00)の残業は25%加算されます。(通常+深夜割増=50%)
また、月60時間を超えた部分は25%加算となります。(深夜残業+月60時間超=75%)
※法定休日労働とは日曜日の勤務に限定されるものではなく、労働基準法上の休日に勤務するもの。
残業区分 | 割増率 |
---|---|
通常 | 25% |
法定休日 | 35% |
深夜(22:00~5:00) | 25%加算 |
月60時間超過分 | 25%加算 |
残業代の計算例
(例)1時間当たりの基礎賃金が2,000円の人が、月に80時間勤務した(内5時間分を深夜勤務・8時間分を休日出勤)したときは? ※深夜勤務、休日出勤した時点では60時間以内
残業代=「1時間あたりの基礎賃金」×「残業時間」×「割増率」で求めます。
- 通常=2,000円×60h×25%=30,000円
- 深夜=2,000円×5h×50%=5,000円
- 休日=2,000円×8h×35%=5,600円
- 60時間超の残業代=2,000円×7h×50%=7,000円
よって、時間外手当額=47,600円、となります。
給与で何が決められているのか?
給与は、主に税や社会保険料などの基礎数値として使われます。
税(所得税・住民税)と給与
給与は給与収入と呼ばれ、給与収入から給与所得控除を引いたものを給与所得といいます。
専門用語がいっぱいですが、簡単に解説すると…
- 給与収入とは…基本給+手当などの総支給額のことで、税金や社会保険料が引かれる前の額です。
- 給与所得控除とは…給与収入から給与所得を計算するときに差し引く額です。(計算式により求めます。)
- 給与所得とは…税金の計算となる数値です。
そのため、税金は収入ではなく所得によって計算されます。
給与所得控除・給与所得の計算機を作成しましたのでご活用ください。
社会保険料と給与
社会保険料は給与をベースに計算されます。
正確には、厚生年金保険法でいう「報酬」をベースに計算されるため、給与に該当しない通勤手当なども含めます。
それから、全国健康保険協会(協会けんぽ)が定めている「標準月額報酬」「標準賞与額」に合わせて社会保険料が計算されています。
ちなみに、社会保険料は4月~6月の給与を基に1年分の保険料が決まりますので、保険料を抑えたい場合は4~6月の時間外勤務を減らすことで減額できます。※仕事上、難しい場合もあると思いますが…
年金と給与
社会保険料に連動して、将来受け取る年金額にも影響がでてきます。
当然多くの社会保険料を支払った人は、その分将来多くの年金を受け取ることができます。
そのため、社会保険料が高い!と嘆いている方、その分年金額が上乗せされていると思えば多少ガマンもできるかもしれません。
ただ、一般的なサラリーマンの方であれば、税金よりも社会保険料の方が2倍以上ありますので、それを容赦なく天引きされているお気持ちは痛いほどわかります。
(支払っている側からすると、国にはもっと社会保障費の節約に努めてほしいものです。)
まとめ
項目 | 基本給 | 給与 |
---|---|---|
含まれるもの | ・基本給のみ | ・基本給 ・手当 ・ボーナス ・その他 |
連動しているもの | ・残業代 ・ボーナス ・退職金 | ・税金の計算 ・社会保険料の計算 ・年金の受取額 |