税金

家庭用太陽光発電による収入があったときの申告方法

太陽光発電

自宅の屋根に太陽光発電設備を設置している人で、ふと疑問に思ったことがあるかと思います。
「あれ、太陽光発電で儲かった利益って、申告しなくても大丈夫なのか?」と。
結論からいうと、基本的には申告しなくてもOKです!
理由を解説します。

太陽光発電の売電方法は2種類

太陽光発電の売電方法は、余剰売電と全量売電の2種類あります。

余剰売電とは

作った電力は基本的に自宅で消費しますが、使いきれずに余った電力分だけを電力会社に売却する方法です。

全量売電とは

作った電力をすべて電力会社に売却する方法です。(販売専用の電力)

家庭用での売電は基本的に雑所得

余剰売電・全量売電に関わらず、税法上の取り扱いは同じになります。
家庭用で発電している程度の電力であれば、事業所得に該当することはほとんどありませんので、基本的には雑所得となります。

売電収入

売電したときに得た金額分になります。
期間は1月~12月中にもらった金額分です。

収入=1カ月あたりの売電額×12ヵ月
(例:月に2万円発電し、1万5千円の電気代がかかった場合、売電額は5千円となります。)

売電収入にかかる必要経費

収入を得るためにかかった費用です。

例えば、太陽光発電設備(太陽電池モジュール、パワーコンディショナー)があります。
これは、税制上「減価償却資産」に該当します。
減価償却資産とは、購入した年に一度に経費を使うのではなく、何年も使うものなのだから購入時の価格から数年間にかけて分散して経費を計上しようというものです。

カンタンにまとめると、太陽光発電設備は17年で減価償却しましょうと決められているので、設備費に200万円かかったとすれば、170万円÷17年=10であるため、毎年10万円の経費がとれることになります。
(初年は月単位で計算しますので、6月に設置したとすれば10万円÷6/12=5万円のみ必要経費となります。)

売電による所得

所得は収入から必要経費を差し引いた額となります。

所得=収入-必要経費

(例)月5千円の売電収入があり、太陽光設備の初期投資に170万円かかった場合
・収入:5千円×12ヵ月=6万円
・必要経費:170万円÷17年=10万円
・所得=6万円-10万円=-4万円

確定申告は所得20万円までは申告不要

確定申告とは、所得税を納付したり還付を受けたりすることです。
所得税の確定申告は特例があって、ある一定の所得ならば計算上所得税を納付することになっても申告(納付)しなくていい、という制度があります。

・給与所得者
給与以外の所得が20万円以下ならば申告不要

・年金受給者
公的年金等以外の所得が20万円以下ならば申告不要

・その他
合計所得48万円以下ならば申告不要
所得<控除はすべて申告不要…納付額が0円なので)

住民税も所得0円なら申告不要

所得税は所得20万円以下ならば申告不要という制度がありましたが、住民税はそのような制度はありません。
なので、極論を言うと、所得が1円でもあれば申告する義務が生じます。

ただ、実際に少額の所得をキチンと申告している人は少ないです。
しかし、住民税は賦課課税(所得税は申告課税)なので、市区町村の税担当者の権限によって調査した内容によって税額を決めることができる、という強力な権限がありますので、申告しなくて放置していたとしても遡って課税される場合はあります。

また、住民税であっても所得が0円またはマイナスになった場合は申告する必要はありません

あえて申告した方がトクする人は…

ここまで読んでくださった方は、「じゃあ、太陽光発電の所得が0円とかマイナスになったら申告しなくていいんだなぁ。」と思ったと思います。

が、これで終わってしまってはこのブログのメリットがありませんので、所得がマイナス(赤字)になっているが、あえて申告することでのメリットを紹介します。

上述したように、太陽光発電の売電は雑所得になります。
雑所得のマイナスは、残念ながら他の所得とは相殺できません。
(例:給与所得300万円、雑所得-10万円あったとしても、給与所得290万円にはならない)

しかし、公的年金の所得は「雑所得」に分類されます。
…そうです。
公的年金所得がある方は、太陽光発電のマイナスを使って、所得を下げることができるのです
(例:公的年金所得80万円、雑所得-10万円ならば、相殺後の雑所得は70万円になる)

また、年金受給者じゃなくても、サラリーマンが副業でブログやYoutubeなどの報酬で稼いでいる場合、通常は雑所得として扱われます。
(本格的に継続してやっている場合などは事業としても申告できますが、認められない場合があります。)
そういうときにも効果を発揮します!


まとめ

太陽光発電の売電

・太陽光発電の売電は「雑所得」
・通常、多少のプラスがあったとしても申告の必要はない
・設備代などの減価償却を申告すれば所得はマイナスのことが多い
・マイナスの申告をあえてするメリットもある!
(年金受給者、サラリーマンで軽く副業してる人など)