「会社を退職したけど保険の手続きが面倒だから…」
「今無保険だけど、国保に入らないといけないの?」
こんな感じで、国民健康保険(国保)への加入手続きをしていないままの人がいらっしゃるかと思います。
今回は、無保険になっている(国保に加入しないまま放置している)とどうなるのかを解説します。
<前提>
そもそも、日本国民はいずれかの公的保険に加入しなければなりません。(強制です)
そのため、無保険を選択することが許されていません。
無保険のリスク(デメリット)
1. 診察・治療費が100%負担になり、上限がなくなる
一番のリスクはコレです。
万一、ケガや病気になって病院を受診したとき、本来かかる医療費の3割分だけ支払えばよいところを10割負担しなければならなくなります。
(例)虫歯の治療費が3万円かかった場合…
保険証を提示すれば9,000円、なければ3万円かかる。
また、1カ月に高額な医療費がかかった場合のセーフティネットとして、保険加入者は月に支払う上限額が決められています。
しかし、保険に加入していないと青天井で医療費を支払う必要があります。
(例)スポーツで骨折のため入院した治療費が50万円かかった場合…
保険証(限度額認定証)を提示すれば1カ月に支払う治療費の上限は8~10万円で済むが、無保険だと50万円。
2. 出産にかかる費用分42万円が自己負担になる
赤ちゃんを産むと病院に支払う料金は、通常42万円を差し引いた残り分だけを支払えばOKです。
これは、保険に加入しているからなのです。
もちろん、無保険だと42万円を補助してくれませんので、支払いはかなりタイヘンになります。
3. 慌てて加入手続きしても、さかのぼって保険料を徴収される
じゃあ、病院に行くことになったら国保に加入したらいいんじゃないの?
と思われる方がいるかもしれません。
が、そう簡単にはいきません。
実際、国保に加入するときに「申請日」から加入させてもらえるわけではありません。
さかのぼって無保険だった期間も含めて加入することになります。
そのため、無保険だった期間も含めて保険料を支払う必要があるのです。
(例)2022.3.31に会社を退職。4.1~12.31まで無保険。2023.1.1から国保の加入手続きをする場合
2022.4.1にさかのぼって国保加入の手続きを行い、4.1~12.31までの保険料をまとめて支払うことに…。
4. 10万円の罰金がある…かも
国民健康保険へ加入しなければいけないにもかかわらず加入手続をしない人には、各市町村(自治体)が10万円以下の過料を行うことができます。(条例で定めていた場合)
また、偽りなどの不正行為により保険料の負担を免れていた人に対し、免除されていた金額の5倍に相当する金額以下の過料を行うこともできます。
しかし、これを適用する自治体はまずいません。
適用するための手間(根拠資料を収集、資料作成など)とその後のトラブルになるリスクを考えると割に合わないでしょうし。
無保険のメリット
国保に加入しないたった1つのメリットとしては、「国民健康保険料を支払わなくていい」ことです。
行政側は、その人が100%無保険になのかどうかは把握していません。
再就職して健康保険に加入している、健康保険に加入している家族の扶養になっている、保険組合に加入している、などさまざまなパターンがあり、すべてのデータを持っているわけではないからです。
そのため、無保険のままでいても「アナタ無保険なんだから、国保に加入してくださいね。」などと言われることはないでしょう。(無保険かどうかを確認されることはあるかもしれませんが…。)
よって、国保の加入手続きを放置していれば無保険になってしまいます。
当然、保険料の請求が来ることもありません。
ただ、よほど健康に自信があり、不慮の事故に巻き込まれない運の良さがある人を除いて、公的保険には加入しておくことをオススメします。
まとめ
- 会社を退職したら、自分で国保の加入申請をしよう
- 加入しないデメリット:医療費が10割負担(上限なし)、出産費用が自腹(42万円もらえない)
- 加入しないメリット:保険料を支払わなくていい
- 加入しなくてもだいたいバレないし、罰則もないに等しい