加給年金とは?
加給年金とは、自分(夫)が年金を受給する時点で配偶者(妻)や子を扶養しているときに、扶養手当のようなイメージで上乗せ支給してもらえる年金のことです。
そもそも年金とは…
現在の年金制度は3層構造になっています。
1階と言われる国民年金、2階の厚生年金は強制加入です。(国民年金は未納している人もいますが…)
3階の国民年金基金や確定拠出年金(iDeCo:イデコ)などはある程度自分で選択可能となっています。
1.国民年金 | 20歳以上60歳未満の全員が加入するもの。(強制) |
2.厚生年金 | 会社員、公務員が加入する上乗せ年金。(強制) |
3.その他 | 国民年金基金、iDeCo、企業年金などがありオプション機能的な要素。(任意) |
もらえる条件は?
条件は一見わかりにくいかもしれませんが、配偶者が年下で共働きでない人は条件を満たしていることが多いです。
配偶者と子で条件が違いますので、別々に解説します。
前提条件
基本的な条件として、↓の2点があります。
- 自分の厚生年金の加入年数が20年以上(240ヵ月以上)ある。
- 自分が65歳に到達時点(または老齢厚生年金の支給開始年齢に達した時点)で、下記に該当する配偶者or子と生計を一にしている。
意外と見落としがちなのが、本人の厚生年金の「加入年数20年以上」の縛りです。
極端にいえば239ヵ月加入した後に会社を退職していれば対象外となってしまいます。
「あぁ~、足りないぃ!」と気が付いた人は、早めに厚生年金に加入できる事業所に再就職して不足している月数分の仕事をしておきましょう。
また、「生計を一にしている」ということの根拠資料を提示する必要はありません。
配偶者がいる場合の受給条件
- 配偶者が65歳未満。
- 配偶者が(老齢)基礎年金を受給していない。
- 配偶者が850万円以上の年収がない。
【補足】
事実婚でもOK。(戸籍上の配偶者でなくてもよい)
ただし、住民票に「未届の妻(夫)」などの記載が必要。
※役所で手続きすれば表記の変更はOK(事前に役所で何が必要かの確認を…)
子がいる場合の受給条件
- 18歳になる年度の末日までの間の子どもがいる。(3月に高校を卒業する年齢まで)
- 障害等級が1級・2級の状態にある20歳未満の子どもがいる。
配偶者がいなくても↑に該当する子がいれば対象となります。
また、法的な養子でも対象です。
いくらぐらいもらえるの?
結論からいうと、年間約39万円もらえます。
加給年金額 = 配偶者加給年金額+配偶者の特別加算額+子の加給年金額
↑のとおり加給年金額が計算されます。
それぞれの金額は下表のとおりです。
対象者 | 加給年金額 | 特別加算額 |
---|---|---|
配偶者 | 224,900円 | 166,000円 ※本人の生年月日が昭和18年4月2日 (1943/4/2)以後の場合 |
1人目・2人目の子 | 各224,900円 | なし |
3人目以降の子 | 各75,000円 | なし |
2021年現在での年齢でいうと、満78歳以前の方は配偶者の特別加算が受けられますので、224,900円+166,000円=390,900円の加給年金を受け取れることになります。
ちなみに、対象となる子がいる場合は、約39万円に対象の加給年金(一人につき224,900円)が加算されます。
※子は自分が65歳になったときに18歳未満の子がいる設定…つまり50歳前ぐらいに子どもを授かったときなので、一般的には対象者が少ないと思います。
繰下げ・繰上げしたときはどうなる?
繰下げしたとき
年金を遅らせてもらう方法である「繰下げ受給」を選択したときは、加給年金も同時に繰下げられます。
例えば、65歳→70歳まで繰下げしたとき、65歳から加給年金だけもらうということはできません。
70歳になって年金をもらうことになれば、加給年金も同時にもらえます。
ただし、70歳になった時点で配偶者が65歳以上になっていれば加給年金の条件を満たしていないことになるのでもらえなくなります。
また、繰下げしたからといて加給年金額が増えることはありません。(通常の年金は増額されます。)
繰上げしたとき
年金を早くもらう方法である「繰上げ受給」を選択したとき、加給年金は通常の65歳から加算されます。
例えば、65歳→60歳まで繰上げしたとき、60歳から加給年金も一緒にもらうことはできません。
60歳~64歳までは通常の年金のみ受給し、65歳から加給年金が加算されるようになります。
早くもらったからといっても上乗せ支給はしてもらえないということですね。
繰下げ・繰上げのまとめ
繰下げ | 【もらえる時期】年金受給を開始してから権利発生 【額の増減】なし 【注意点】年金受給時点で配偶者(妻)が65歳になってしまうと加給年金がもらえない |
繰上げ | 【もらえる時期】65歳から 【額の増減】なし 【注意点】早く年金をもらっても加給年金は65歳までもらえない |
≪合わせて読んでみて≫
年金をもらえる年齢は選べる!何歳がオトク?(繰上・繰下受給)
手続き方法は?
加給年金は自分から申請しないともらえません。
条件を満たしているから自動的に適用されるだろう、なんて甘い考えは捨ててください(笑)
【手続きの流れ】
- 書類を準備して、年金事務所(年金相談センター)に提出する。
- 日本年金機構から、加給年金の手続きのお知らせが送られてくる。
- 同封の返信用はがきに必要事項を記入して返送する。
1の書類については↓のものです。
A. 老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
B. 受給権者の戸籍抄本or戸籍謄本(記載事項証明書)
C. 世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)
D. 加給年金の対象者の所得証明書or非課税証明書
Aは日本年金機構HP「老齢厚生年金受給者に加給年金額がつくとき」よりダウンロードできます。
B~Dはすべて市区町村窓口で発行してもらえます。
<注意点>
・コピーではなく原本が必要です。
・B,Cは権利発生後かつ提出日の6ヶ月以内に発行されたものが必要です。
・転出(引っ越し)をしている人は今住んでいる役所で全部の書類がもらえないことがあります。
※Bは戸籍を置いているところ、Cは住民票を置いているところ、Dは対象となる配偶者or子の住民税が課税されているところ
概要は日本年金機構HP「加給年金額を受けられるようになったとき」をご確認ください。