2022.10.13 国(デジタル庁)より「現在は紙などで発行されている健康保険証を2024年秋で廃止し、マイナンバーカードと一体化させる」方針が発表されました。
それを受けてマスコミが大々的に取り上げてる(PRしてる!?)せいか、SNSでも話題になっています。
今回は、せっかくなので健康保険証がなくなったときのメリットとデメリットをまとめてみます。
さまざまな角度から見た世間の意見と、公式データを検証した結果を踏まえた個人的な意見を織り込んでいますので、一つの考え方としてご参考いただけると幸いです。
マイナンバーカードを保険証として利用するメリット
と、その前にマイナンバーカードを保険証として利用するメリット・デメリットをサクッとまとめておきます。
メリット | デメリット |
---|---|
就職・転職・引越しても保険証の手続きが不要 | ←のような手続き直後は連携されていない …すぐには使えない |
今なら登録するだけでポイントがもらえる | 現時点では対応している医療機関が少ない …マイナカード+保険証の両方が必要 |
検診情報や診療・薬・医療費をネットでチェックできる | |
医療費控除の確定申告がラクに | |
医療機関への受診がカードだけでOKに (保険証限度額適用認定証がいらない) | |
カードで受診した方が医療費が少し安くなる |
それ以外のデメリットとしては、マイナンバー自体の問題ですが…
・カード作成への心理的な壁(一部の人)
・個人情報の流出を極端に嫌う人
・マイナンバーカード自体が5年ごとに更新がある
などがあります。
まぁこれは仕方のないことかもしれません。
が、個人情報の件に関していえば、スマホを使用している時点でアナタの情報は全世界に筒抜けといっても過言ではないので、便利になるのなら気にしないでもいいんじゃないかと個人的には思います。
<厚生労働省サイト>マイナンバーカードの健康保険証利用についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html#hokensho1
保険証がなくなったときのメリット3点
1.マイナ保険証に対応していない医療機関がなくなる(どこでも使える)
2022.10.9時点、マイナ保険証(マイナンバーカードに保険証を紐づけした状態)が使える医療機関は全体の31.5%です。
<参考>厚生労働省サイト:オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
導入している医療機関が増えているとはいえ、まだまだ使えない医療機関が多く、結局保険証を携帯・提示しなければいけない状態となっています。
これが「原則、保険証が廃止」となれば医療機関も対応せざるを得なくなります。
そのため、今後はほぼすべての医療機関で保険証や限度額適用認定証などを提示しなくてよくなります。
これにより、患者側もマイナ保険証を使うことで、自分の病歴や投薬状況を正しく医療機関に知ってもらうことで適切な医療を受けることができたり、そもそも受付で毎回問診票などを書く必要もなくなります。
紹介状なんて制度もなくなるかもしれませんね。
いずれにしろ、医療を受ける側にとってはより強くメリットを享受できることになります。
2.医療機関や行政のムダな人件費が減る(コストカット)
2つめは、未だに紙ベースでのやり取りが続いている患者⇔医療機関⇔行政がオンライン化・効率化されることになります。
ということは、それに費やしていた人件費や委託料などをカットすることができます。
これは、一見患者にとっては大したメリットではないように思います。
しかし、その人件費は最終的に国民の税金として使われているのです。
その大切な税金をそんな非効率なものに使わないでよくなりますので、今後はもっと必要とされるものに使われることになります。
回りまわって自分たちの行政サービスの質が上がることになりますね。
ちなみに、マイナ保険証に完全に置き換わることで各市区町村から職員1名を減らせるとしたら…
全市区町村数(1,724)×1人あたり年収(500万円)=約86億円
めっちゃザックリですが、行政だけでも年間86億円も減らせます。
これに医療機関での人件費削減分も考慮すると…かなり効率化できることがわかりますね。
3.成功事例となれば他のサービスもオンライン化が劇的に進む(便利化)
「マイナンバーカードなんか作っても何にもメリットがない。」
と言ってる人にとっては朗報となります。
今後はマイナ保険証だけでなく、さまざまなものがマイナンバーカードに紐づくことになっていくでしょう。
例えば、こんな感じ。
- マイナンバーカードの機能をスマホに搭載(カードを持ち歩く必要なし)
- 運転免許証との一体化
- 外国人在留カードと一体化
- 市区町村独自のオプション(図書館カードと一体化・福祉サービス・税金の支払など)
外国ではスタンダードになっていますが、先進国である日本はホントにIT分野では発展途上国以下のレベルです。
マスコミや国民一人ひとりがITの発展に関心をもってもらえると、もっともっと便利になりますね。
保険証がなくなったときのデメリット2点
1.マイナンバーカードを作るハードルが高い人(新生児や施設入所者など)への対応が困難
そもそもマイナンバーカードを持っていない、事情により作れない人もいるかと思います。
例えば、生まれたばかりの赤ちゃん、長期入院中の人、施設へ入所している人など。
しかし、本人が手続きできない理由がある場合は代理申請・代理受領OKとなっています。
ですので、赤ちゃんであれば親が、本人が事情により手続きできない人には代理人が代わりに手続きしてあげればマイナンバーカードを作ることは容易です。
問題なのは、代理人がいない場合…ですね。
まぁ施設入所者であれば施設職員さんが代理で行うことが可能かと思います。(そもそも保険証などの手続きなども代理人が必要です)
あと、めんどくさがって手続きしない高齢者ほど医療機関への受診が多いのですから、マイナンバーカードを作るメリットは大きいと思います。
2.切替初年は大混乱!?
これは一時的な問題ですし、避けては通れない道ですが、切り替えると決まった初めての年は大混乱が予想されます。
医療機関も行政も問い合わせが殺到し、対応に追われることになるでしょう。
これに対する対応は、今からしっかりと国民に広報していくしかないと思います。
人間、知らないものに対しては心理的に不安になるように脳にインプットされています。
なので、マイナンバーカードはセキュリティが強くて安心、落としても大丈夫、作るといいことあるよ、などといったメッセージを地道にPRしていくしかないのかなぁと思います。
でも、なんだかんだ言っても人は慣れますので、保険証が廃止されたとしても運用が軌道に乗れば忘れていきます。
10年後には「保険証って昔あったなぁ」っていうときがきます。
最初はタイヘンでしょうが、がんばってください。
まとめ
保険証がなくなることのメリット・デメリットをまとめてみます。
- マイナ保険証に対応していない医療機関がなくなる(どこでも使える)
- 医療機関や行政のムダな人件費が減る(コストカット)
- 成功事例となれば他のサービスもオンライン化が劇的に進む(便利化)
- マイナンバーカードを作るハードルが高い人(新生児や施設入所者など)への対応が困難
- 切替初年は大混乱!?
デメリットをいろいろと考えていたのですが、ブログやSNSでみても明確に「ココが困る」というほどのものはありませんでした。
単純に、心理的な抵抗があるのかなぁと思います。
後れを取っていた日本もようやくデジタル化・効率化の大きな流れがきています。
ここで反対してもこの流れに逆らうことはできないでしょうし、反対するメリットも大してありません。
それより、流れに乗ってオイシイところ(今回でいうポイント)をいただいておく方が最終的にメリットが大きいですよ。
マイナンバーカード・保険証についてはさまざまな改正が積極的に行われています。
そのため、本記事の内容も今後変更になる可能性ありますので、最新情報はデジタル庁・厚生労働省などの公式サイトで確認することをオススメします。
デジタル庁(https://www.digital.go.jp/)
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
マイナンバーカード総合サイト(https://www.kojinbango-card.go.jp/)